QLC+ Custom Fixture — ARRI L7-C Plus
Updated: 2026-06*
スタジオの「ハードライト(スポット)」として使う ARRI L7-C Plus を QLC+ で制御するために、専用のフィクスチャ定義(.qxf)を用意します。この記事では、機器の情報・参照元・フィクスチャの構成・作成方法の順に解説します。
この記事で扱うのは L7-C Plus です。型番が似た旧モデル L7-C とは DMX プロトコルが異なるため、設定を流用できません(詳しくは「機器の情報」を参照)。
1. 機器の情報
L7-C Plus は RGBW のカラーミキシングに対応した LED フレネル器具です。フレネルレンズによる輪郭のはっきりした「硬い光(ハードライト)」が特徴で、三点照明ではキーライトやアクセント用に向きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | LED フレネル(カラーミキシング、RGBW) |
| 色温度(CCT)レンジ | 2,800K 〜 10,000K |
| 演色性 | CRI 94 |
| ビーム角 | 約 12〜45°(スポット/フラッド可変) |
| 制御方式 | DMX512 / RDM、Art-Net、sACN、本体パネル |
| 消費電力 | 約 220W |
プロトコル上の最重要ポイント
L7-C Plus は Classic SkyPanel と同じファームウェアプラットフォームをベースにしています。そのため DMX の動作は、旧 L7-C の独自プロトコルではなく、SkyPanel-C(カラーモデル)系のプロトコルに準拠します。
その結果として注意すべき点が 2 つあります。
- 対応モードが SkyPanel-C と同じになる(CCT / CCT & RGBW / CCT & HSI / RGBW / HSI など)。
- チャンネル数が「DMX プロトコルバージョン」設定で変わる。本体メニューで V4.x を選んでいる場合と V3.x を選んでいる場合で、同じモード名でもチャンネル数が異なります。本記事は現行の V4.x を前提に作成しています。
実機を扱う際は、必ず本体パネルまたは RDM で「現在のモードとチャンネル数」を確認し、フィクスチャ定義側と一致させてください。一致していないと、フェーダーと実際の機能の対応がずれます。
2. 参照元
チャンネルマップは推測ではなく、ARRI 公式の技術資料に基づいています。
| 資料 | 用途 | 入手元 |
|---|---|---|
| ARRI L-Series and SkyPanel RDM Protocol Specification | モデル ID・パーソナリティ一覧・チャンネル数の確認 | arri.com(技術資料) |
| ARRI SkyPanel DMX Protocol Specification V4.4 | 各モードのスロット(チャンネル)ごとの割り当て | arri.com(技術資料) |
| 製品仕様(CCT・CRI・ビーム角・消費電力) | 機器情報 | ARRI 製品ページ/販売店スペック |
L7-C Plus が SkyPanel ファームウェアをベースにしているという記述は ARRI 製品情報に基づきます。上記 2 つの仕様書は ARRI のサイトで無償ダウンロードでき、ファームウェア更新に伴って改訂されることがあるため、運用前に最新版を確認することを推奨します。
3. カスタムフィクスチャの構成
チャンネル定義(共通)
各モードで使うチャンネルを、QLC+ のグループ/プリセットと対応づけて定義します。
| チャンネル名 | QLC+ グループ/プリセット | 値域 | 機能 |
|---|---|---|---|
| Dimmer | Intensity / Master Dimmer | 0–255 | 調光(消灯→全開) |
| Color Temperature (CCT) | Colour | 0–255 | 色温度 2,800K→10,000K |
| Green-Magenta | Colour | 区分あり | グリーン/マゼンタ補正 |
| Crossfade to Color | Colour | 0–255 | 白→カラーへのクロスフェード |
| Red / Green / Blue / White | Intensity / Red・Green・Blue・White | 0–255 | 各色の強度 |
| Hue | Colour | 0–255 | 色相 0–360° |
| Saturation | Colour | 0–255 | 彩度 0–100% |
| Fan Control | Maintenance | 区分あり | ファン動作モード |
| Preset | Maintenance | 区分あり | 内蔵プリセット呼び出し |
| Strobe | Shutter / Strobe Slow→Fast | 0–255 | ストロボ |
| Reserved | Nothing | – | 予約(未使用) |
Green-Magenta の値の区分(非線形)
中央付近にニュートラル帯がある特殊な並びです。フェーダーを動かしたときの表示が分かるよう、定義に区分を入れています。
| 値 | 状態 |
|---|---|
| 0–10 | ニュートラル |
| 11–20 | フルマイナスグリーン |
| 21–119 | マイナスグリーン −99%→−1% |
| 120–145 | ニュートラル |
| 146–244 | プラスグリーン +1%→+99% |
| 245–255 | フルプラスグリーン |
モード構成(8bit、V4.x)
各モードのチャンネル順は次のとおりです(数字は DMX チャンネル番号)。
| DMX ch | Mode 02 CCT (7) | Mode 01 CCT & RGBW (12) | Mode 03 CCT & HSI (10) | Mode 04 RGBW (9) | Mode 05 HSI (7) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Dimmer | Dimmer | Dimmer | Dimmer | Dimmer |
| 2 | CCT | CCT | CCT | Red | Hue |
| 3 | Green-Magenta | Green-Magenta | Green-Magenta | Green | Saturation |
| 4 | Fan Control | Crossfade to Color | Crossfade to Color | Blue | Fan Control |
| 5 | Preset | Red | Hue | White | Preset |
| 6 | Strobe | Green | Saturation | Fan Control | Strobe |
| 7 | Reserved | Blue | Fan Control | Preset | Reserved |
| 8 | White | Preset | Strobe | ||
| 9 | Fan Control | Strobe | Reserved | ||
| 10 | Preset | Reserved | |||
| 11 | Strobe | ||||
| 12 | Reserved |
初学者向けの運用では、白色だけを扱う Mode 02(CCT・7ch) が最もシンプルで扱いやすく、カラー演出まで含める場合は Mode 01(CCT & RGBW・12ch) が万能です。
4. カスタムフィクスチャの作成方法
2 通りの方法があります。配布済みの .qxf をそのまま導入する方法(方法 A)と、QLC+ の Fixture Definition Editor でゼロから作る方法(方法 B)です。
方法 A:配布済みの .qxf を導入する
ダウンロード:
ARRI-L7-C-Plus.qxf(リンクを右クリック →「リンク先を保存」)
- 配布された
ARRI-L7-C-Plus.qxfをコピーする。 - 下表の ユーザーフィクスチャフォルダ に置く。
- QLC+ を再起動する。
- Fixtures タブで器具を追加する画面に、メーカー「ARRI」→モデル「L7-C Plus」が表示される。
| OS | ユーザーフィクスチャフォルダ |
|---|---|
| Windows | C:\Users\{ユーザー名}\QLC+\Fixtures |
| macOS | $HOME/Library/Application Support/QLC+/Fixtures |
| Linux | $HOME/.qlcplus/fixtures |
注意:QLC+ のシステムフィクスチャフォルダには保存しないでください。また
Fixturesmap.xmlは編集しないでください。メーカー名のサブフォルダを作る必要はなく、Fixturesフォルダ直下に.qxfを置きます。
方法 B:Fixture Definition Editor で一から作る
QLC+ 本体とは別アプリの「Fixture Definition Editor」を使います。
- Fixture Definition Editor を起動する。
- General で Manufacturer に
ARRI、Model にL7-C Plus、Type にColor Changerを入力する。 - Channels で「+」を押し、上記「チャンネル定義」の表に従って各チャンネルを追加する。
- 単純な調光・RGBW は Preset(Master Dimmer / Red / Green / Blue / White)を選ぶと色付きで扱いやすい。
- CCT・Green-Magenta・Hue・Saturation などは Preset を使わず、Group を
Colourにして Capability(Min/Max と説明)を手入力する。
- Modes で「+」を押してモードを追加し、モード名を付ける。利用可能チャンネルの一覧から、DMX 順にモードへ登録する(登録順=DMX チャンネル順)。これを 5 モード分くり返す。
- Physical に物理情報(任意)を入力する。
- 保存する。保存ダイアログは自動的にユーザーフィクスチャフォルダを開く。
- QLC+ 本体を再起動して反映する。
編集・追加のたびに QLC+ の再起動が必要です。反映されない場合は保存先フォルダが正しいか、再起動したかを確認してください。
確認・差し替え事項
- 本体の DMX プロトコルバージョン(V4.x / V3.x)とモードを確認し、定義と一致させる。
- Physical(重量・寸法・消費電力)の数値は参考値です。教材に数値を載せる場合は実機スペックで上書きする。
- 1 台でフェーダー動作を検証してから、複数台へ展開する。
