QLC+ 8 — Shutdown & Blackout
Updated: 2026-06*
このシリーズで最も重要な回です。照明を消し忘れたまま放置すると、機材の寿命や安全面で問題になります。とくに無人運用では、「正しく消して、正しく終わる」手順を全員が守ることが欠かせません。
まず大前提:ソフトを閉じても照明は消えない
第 3 回でも触れた、ODE Mk2 の「最後の信号を保持する(Hold Last Look)」挙動を、改めて強調します。
ODE Mk2 は、QLC+ からの信号が途切れても、直前に受け取った DMX フレームを保持し続けます。 つまり、QLC+ を終了しただけ/PC を閉じただけでは、照明は点いたままになります。
「ソフトを閉じれば消える」という思い込みが、消し忘れの最大の原因です。消灯は、明示的にブラックアウト(全チャンネルを 0 にした状態)を送ってから行う必要があります。
なお、ODE Mk2/Mk3 本体には「信号が切れたら自動で消灯する」ような設定(DMX ロス時の動作設定)はありません。消灯は運用手順で確実に行うのが基本です。
ブラックアウトの方法
方法 A:ブラックアウト用ボタンを卓に置く(推奨)
学生が迷わず押せるよう、卓に大きな「ブラックアウト」ボタンを 1 つ用意します。
- フィクスチャー&ファンクション コンテキストで、全照明の明るさ(Dimmer/Intensity)をすべて 0 にしたシーンを作り、
ブラックアウトという名前で保存します。 - Virtual Console に Button を追加し、Properties の Function でこのシーンを割り当てます。
- ラベルを「ブラックアウト(消灯)」とし、目立つ位置・色にします。
このボタンを押すと、全チャンネルに 0 が送られ、照明が消えます。そのままの状態(0 を送った状態)で終了すれば、ODE が保持するのも 0 になるため、消えた状態が維持されます。
方法 B:メインツールバーのブラックアウト
QLC+ 本体ウィンドウ上部のツールバーにある Blackout(ブラックアウト)トグルを使う方法もあります(Operate モードで有効)。オンにすると全 DMX 出力が 0 になります。卓のボタンが使えないときの予備として覚えておきましょう。
安全な終了手順(毎回・必ず)
無人運用での標準手順です。この順番を守ることが重要です。
- ブラックアウトを実行する(方法 A のボタン、または方法 B のトグル)。
- 実際に全照明が消えたかを目視で確認する。 画面ではなく、現物の照明を見ます。
- (保険として運用している場合)スマート電源タップや、フィクスチャー側の消灯を確認する。
- QLC+ を終了する。[File]→[Quit]。
- 「変更を保存しますか?」と聞かれたら、「No(保存しない)」を選ぶ。
- これは、学生がその回に行った一時的な変更をマスターのプロジェクト(
.qxw)に上書きしないためです。卓のレイアウトや正規のシーンは、管理者が別途保存・管理します。
- これは、学生がその回に行った一時的な変更をマスターのプロジェクト(
- 必要に応じて PC を終了・スリープする。
チェックの合言葉:「消した? 見た? 保存しないで閉じた?」 この 3 点を毎回確認すれば、消し忘れと設定の事故はほぼ防げます。
さらに確実にするための保険(無人運用向け)
人の操作だけに頼らず、仕組みで守る方法もあります。管理者向けの選択肢として、次の 2 つが有効です。
- スマート電源タップ/コンセント:照明や ODE への給電を、時間やスイッチで物理的に切る。最終的に電源が落ちれば確実に消灯します。
- フィクスチャー側の DMX ロス時動作:照明本体に「DMX 信号が一定時間途切れたら消灯/減光する」設定がある場合は、それを有効にする。
これらは ODE 側ではなく、電源管理または照明本体側で行う点に注意してください。
トラブル時:照明が消えない
- ブラックアウトを押しても消えない → Operate モードになっているか確認(Design モードでは効きません)。
- それでも消えない → 方法 B のツールバー Blackout を試す。
- 緊急時 → 最終手段として、スマート電源タップや該当ブレーカーで給電を止める。手順は管理者連絡先とあわせて現場に掲示しておきましょう。
まとめ
ここまでで、ダウンロードから日々の安全な終了まで一通りそろいました。各照明の DMX アドレス・モード、ODE の IP や Wi‑Fi 設定、卓のレイアウト図、管理者連絡先といったスタジオ固有の情報は配布資料で補ってください。